2019年8月20日火曜日

墨アニメーションの作り方-3

ここからはPCでの作業になります。

5)スキャナーで取り込み、フォトショップで加工



このように取り込んだ和紙は紙の歪みがあるので
それをフォトショップで丁寧に消していきます。

この上に乗せる桜の花びらは
周りを透明に丁寧に消していきましたが
これは枚数が多いので結構しんどいです。。。
でも、これが終わると次のAEでの動きの作業は楽しいので
なんとか終わらせます。

6)アフターエフェクトで動きの制作

・寝ている犬は10枚の繰り返しです。
・微妙にお腹を動かしているのですが、ちょっとわかりずらかったのが残念。
・ふわふわした感じを表すために一枚づつOLで動かしてます。


・木陰の動きは風に揺れてる感じを表すために25枚の繰り返し。


・桜の花びらの動き



これらを重ねていきます。
木陰は透明度をつけて重ね、その上に桜の動きを重ねます。
(乗算で乗せる場合は間にマスクを作って入れます。)
色の濃さやバランスはここで調整します。

・出来上がったカットがこちら



・他のカットも同じように進めていきます。


7)プレミアで編集、音入れ

・この作品は映像ができたところで音楽の方にお願いしました。
札幌で活動してい木箱さんに作っていただきました。
優しい風を感じる音楽を作っていただきたいとお願いしたところ
本当にぴったりの素敵な曲を作っていただきました!
木箱さんのHPでは他の曲も聴けますよ〜。
https://kibaco.net/top.html

・桜の花の声は知り合いに紹介していただいた方です。
とても可愛い声で気に入ってます。



8)完成がこちら




この作品は2012年制作なので
ソフトの使いかたなど、
今とは多少の違いがあります。

ですのでマスク制作の仕方や
アフターエフェクトでの操作の仕方など
細かいところは省いています。

作画も最近は少しづつですがTVペイントを
使うようになってますので
その場合は作画したものを
プリントアウトしてから
墨や水彩で仕上げていきます。

手描きの墨絵や水彩はやはりとても美しいです。
描いている時に感じる美しさを
少しでも伝わるように作りたいと思って制作しています。

デジタル作画はとても便利ですし
すぐ動きを観れるので楽しいです。
でも、手間はかかりますが
このようなやり方もあるということを
知ってほしいと思います。



2019年8月6日火曜日

墨アニメーションの作り方-2

2012年制作の「おひるね」という1分のアニメーションで説明していきます。
フルバージョンはyoutubeでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=xY7yfjXTVeM&t=3s



1)アイディア、イメージイラスト

当時我が家で飼っていた黒柴がモデルです。

その子がテラスで寝ていたところ
桜の花びらが風に飛ばされてきて
何枚か体の上に乗っていました。

その様子がとても綺麗で気持ちよかったので
その光景を描いたものです。

ふわふわした黒い犬の毛の上の
小さな桜の花びらを可愛らしく描きたいなと。

最初のイメージイラストがこちら



2)絵コンテ
この作品は1分くらいのワンシーンのアニメーションなので特別絵コンテは書きませんでした。


3)作画
基本は鉛筆で動画用紙に手描きです。

・まず寝ている犬のレイアウト


・この絵を基本に、犬、桜の花びら、花びらの影、桜の木の影を別々の紙に描いていきます。

・桜の花びらの場合
飛ばされてくる桜の花びらの動きの軌跡を入れます。


・花びらの動きをつけていきます。
番号は花びらが動き出す順番です。
風は(画面の)右から左へと吹いてくる設定なので一番右側が最初に動き出します。
一枚づつ丁寧にパラパラと動きをつけましたが
どういうふうに飛ばされていくのか、考えるのはとても楽しいです。


出来上がった動画用紙をスキャナーで取り込み、
アフターエフェクトで桜の花びらの動きのチェック。
こんな感じです。



4)墨仕上げ
動きができたら墨仕上げします。

・A4サイズに裁断した和紙や画仙紙をタップ用の穴あけパンチでタップ穴をつくります

・トレース台で動画用紙を写して和紙に墨で描いていきます。

・和紙にはそれぞれ滲みやすいものや滲みにくいものなど、特性があるので描きたいものに合わせて描いていきます。

 ・寝ている犬は滲みにくい和紙にしました。
滲みが強いと画面が動きすぎてしまって
眠っている感じが出にくいので、
小さめに丁寧に描いて、質感が出せるように拡大して
使っています。




・桜の花びらも小さい絵なので丁寧にしっかり描ける紙にしてます。
・部分しか使わない場合は
小さく和紙を切って動画用紙に貼って使います。




・逆に後半のあくびのシーンは
黒柴の毛の柔らかい感じを墨で出せるように
滲みが強い和紙(麻紙)を使って描いてます。



・ラストの桜ちゃんは
滲み具合はちょうど中間の画仙紙を使ってます。
細い線をしっかり描きたかったのと
ピンク色をふわっとつけたかったので。




和紙は3種類使っていますが
墨は1種類です。
色は透明水彩でつけています。

仕上げが終わったら
次からはPCでの作業になります。